Review 02
DAWA(FLAKE RECORDS)
世界中の誰しもが忘れられない年となった2020年。今回のコロナウイルスの地球規模の災害の中で、僕らが主としている世界中の音楽業界の立ち位置や意義。そんなことを改めて思わせられる日々でした。私は大阪にて個人で小さな新譜の輸入レコードをメインとしたレコードショップと、洋邦問わずの様々なアーティストを紹介しようとレーベルをやっています。日本での緊急事態宣言。世界各国での感染拡大によるロックダウン。主に輸入に頼る当店は現地の業者、経済の活動ストップにより当店も大きな打撃を受け、様々な考えを形にしサバイブを続けてきました。その期間も世界各国の様々なアーティストやイベンターなど音楽関係者との情報交換。それぞれが懸命に振り絞るアイデアに感化されたり、勇気付けられたりしてきました。瞬発力で動けることもあれば、こんな時期だからこそ緻密に積み上げないとできないことなど、両極端な状態。6月から徐々にコロナも落ち着き、状況は徐々に良くなりつつありましたが、11月末となった今、また感染拡大で雲行きが怪しくなってきたところ、PIZZA OF DEATHからの連絡。
日本屈指の最高のインディレーベルである彼らのコロナ期間の動きにも当然刺激を受けていました。特にPIZZA OF DEATHの抱える全100タイトル、1127曲の一挙サブスク解禁と同時にひっそりハイスタの新譜としてライブアルバムが配信開始されたのには痺れました
そんなPIZZA OF DEATHからの連絡で今回の新たな動きを伝えられました。
有観客のライブが出来ないのであれば無観客で。そして一発録りにてライブ音源を収録。更にはこれまで敢えて積極的には行ってこなかったPIZZA OF DEATHの冠を抱え、彼らの思うレーベルの役割を引き受けた、レーベル主催のナンバリングシリーズとしてリリースを行う企画"BECAUSE IT'S 2020"。
「だって2020年だぜ」と言うこのタイトルには様々な気持ちが汲み取れます。ネガティブな要素を内包しつつも、未来では2020年を笑い飛ばそうぜ!ってポジティブに響くワードかと。そんな企画"BECAUSE IT'S 2020"を行うに際して、参加を要請する各バンドへ送ったと言う企画書も拝見させていただきました。
特にPIZZA OF DEATH所属のバンドの数々は音源のリリースはライブに直結するバンドばかりだし、お客さんとの濃密な現場をいくつも超えて支持を集め、その存在意義を示すバンドばかり。そんなバンドのケツを叩く企画だと思いますし、お客さんいないからってしょぼいライブすんなよ!って言うメッセージもあるのかなと勝手に思います。
そして出来上がってきた各バンドの音源を聴いて、熱量をしっかり感じさせてくれるライブは、このタイミングだからか様々な情報を得ているからか、異様に響く感じで、ライブ盤でありながら歓声などは聞こえない、お客さんとの相乗効果というのを得られないからこそのバンドの別ベクトルのパワーと言うか、表現を封じ込めた感じがしますし、一方通行の凄みというか、お客さんがいるからこその作用がない、バンドのリアリティを封じ込めた作品群だと。
誰もあの日のライブと振り返ることができない、体験した人がいないライブ盤。ただ2020年の出来事としてバンド、ファンの双方にとって痛烈な作品となっているかと。